2010年12月25日土曜日

トロワ・ゼローサッカー狂時代

「現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクションより」での上映。

サッカー選手を夢見るハンガリー移民青年にエージェント二人が絡む「痛快コメディー」とのこと。
出演者の「ウラディーミル・ヨルダノフ」はロシア人だろうか。

というわけで、観てきました。

「ウラディーミル・ヨルダノフ」はパリ・サンジェルマン(以下PSG)の会長だったのか??
まあまあでした。

「サッカー選手を夢見るハンガリー移民青年」ティボールを演じたロラン・ドゥーチェがきゃしゃで、全くサッカー選手に見えないのだが、やたらサッカーがうまいことになっているのだね、これが。
最初の方はもろ、「メジャーリーグ」でチャーリー・シーンが演じていた不良少年です。
(何をやったのかは不明だが、暴走族の一種だったのか?)
主体性なく、多少色ボケで、ちょっと危ない感じは出ていたと思う。
「アホ」の自称代理人マニュは、なんか「ニノの空」を思い出したなあ。

無名の天才ティボールを巡る代理人間の大騒動のメインストーリーより、元辣腕代理人の妹の女子チームのサブストーリーの方が、「ヴィーナス11」っぽくて、おもしろかった。

公開したらそこそこ行くんじゃないか?と思うけれど、時期を逸してしまったかな?
それにしても、PSGは最近サッカー映画によく登場するな、ネタクラブとして。

トロワ・ゼローサッカー狂時代

2010年11月13日土曜日

ナイス・シュート

アラブ映画祭で観た短篇。
原題:ملعوبة

一発芸です。
是非もう一回観たい。

「ナイス・シュート」コッサイ・ハムザ監督2001年レバノン

2010年11月3日水曜日

ひまわり

あの名画「ひまわり」
説明不要の名画ですね。

ジョバンナ役のソフィア・ローレンよし、アントニオ役のマルチェロ・マストロヤンニよし、名優二人に全くひけを取らなかった、マーシャ役リュドミーラ・サヴェーリエワがこれまた花丸!
ヘンリー・マンシーニの音楽は不朽の名作。
ジュゼッペ・ロトゥンノ撮影の数々の名場面。

そしてあのヒマワリ畑。
ただただ美しく切ない、目に焼きつくあのシーン。
でもこのひまわり畑の撮影場所については諸説あり。
在ウクライナ日本大使館のサイトによれば、「キエフから南へ500kmほど行ったヘルソン州」とのことですが、日本で販売されているDVDなどのパッケージにはモスクワ近郊のシェレメチェヴォである旨書かれているのだと。
映画の撮影当時、モスクワとその近郊しか撮影許可が出ていなかったからということだそうです。

確かになあ。
あの映画でやや不満な点は、たいしたコネもないはずの一介のイタリア人女性が案外簡単にソ連に潜入できて、しかも広くて恐ろしく事務的に非効率な(はず)あの国で何とかかんとかしながらも夫を見つけ出すという当初の目的を遂げることができてしまうということ。
あの映画を観たら、「それなら私も東部戦線から帰ってこないあの人を探すわ」という女性が、イタリアならずとも(具体的にはドイツやルーマニアやブルガリアなどだが)、続々と出てきてしまうのではないか?という気がしたものです。
ソ連側としてはあんまり有り難くないだろうと。

ジョバンナは、ここで待っていればいつかは現れるのではと、スタジアムでサッカー観戦が終わった観客が出てくるのを待ち伏せ…という古典的作戦(最近の作品でも「瞳の中の秘密」に受け継がれている)に出ます。
イタリア男=サッカー好き=スタジアムにいるの法則。
撮影がモスクワとその近郊だったということなら、あれはレーニンスタジアム(現ルジニキスタジアム)で、あの地下鉄の駅はモスクワのスポルチーヴナヤなのか。
でも、キエフのディナモ・スタジアム(現ロバノフスキー名称ディナモ・スタジアム)だって言われればそうかなあという気もする。

だとすると、ジョバンナが男性を追いかけていくのはキエフの地下鉄駅?
どちらのスタジアムもその後改修されているから、よくわからないです。
駅の方もだいぶ様子が変わっているだろうし。
でも、キエフのパラス=スポルトゥ駅は…似ているような気がすごくする。


「ひまわり」ヴィットリオ・デ=シーカ監督1970年イタリア

在ウクライナ日本大使館サイト

2010年10月12日火曜日

フッチボール・ブラジル

ブラジル映画祭2010にて鑑賞。
サッカー選手を夢見る子ども、実際にサッカークラブの寄宿学校でスター選手を目指す少年たち、選手をあきらめ熱狂的サポーターとして愉しむ若者、スタジアムのお好み焼き?の売店のおばちゃん、(たぶん物凄く有名な)スポーツジャーナリスト、学者、ミュージシャンたち。
そして、往年の名選手たち。ドクトル・ソクラテス、コウチーニョ、ペペ、リマら。
彼らが断片的に登場するドキュメンタリー。
現役のスター選手こそ出てこないけれど、主にFCサントスをめぐる人々を、スタイリッシュを狙いすぎか、という感もある映像で映し出した、日本人女性監督の作品。

スタジアムの警備の仕事をしているらしいお父さんに手をひかれ、スタジアムデビューを果たす男の子ガブリエル。
アフリカ系の両親はとても優しそう。子どもの希望をかなえてちゃんとしたサッカースクールに通わせるなど、そこそこ余裕のある中流家庭のようです。

ガブリエル君の憧れの選手はなぜか日系3世のタバタ選手。
「日系だからと顔をしかめられたこともある」という、ブラジルでは、特にブラジル・サッカー界では、日系はマイノリティーなのですね。
ちょっと前園っぽい面持ちの雰囲気イケメン?の、ロドリゴ(ホドリゴ)・タバタ選手、この作品の撮影当時はFCサントス所属でしたが、エンディングクレジットの字幕では現在トルコリーグのクラブにいるとか。
(調べたところ、ベシクタシュでした。)

熱狂的サポーターだという「色男」(とサポーター仲間に言われる、ややクリスチアノ・ロナウド似の、確かにもてそうな若者)ブルーノ。
割と普通の若者です。
フーリガン風ではない。
ただ、サッカーの応援以外は何やっているのか不明。

売店のおばちゃんチア・ダ・バイバイ(?)さん。すごくいい感じだ。
「リーニャ・ヂ・バッジ」のお母さんみたい。
ブルーノくんより応援に熱がこもっていそうだ。
サンバサークルの一員でもあります。

こういった市井の人たちの描写はおもしろかったのですが…。
それと元スター選手たちにはちょっぴり感動しますが、結局自慢話に花咲かしているだけだなあ。
まがりなりにもサッカーしてみてくれればよかったのに(リフティングだけでも)。

著名なスポーツジャーナリストのアルマンド・ノゲイラさんは、2010年に世を去っているそうです。
それと人類学者の方、ミュージシャンたちのお話は、ブラジルに関心のある人にとっては有益だったのではないかと思います。
が、門外漢の私には「別に~」というか、あんまり目新しい話じゃなかったな。

おもしろかったけど、あんまり焦点が定まっていない印象も。

「フッチボール・ブラジル」"Futebol Brasileiro"榑谷美紀監督2009年日本

2010年10月10日日曜日

男のゲーム

シュヴァンクマイエルの、シュヴァンクマイエルたるべき、「センスはあるけど悪趣味!」な感じが炸裂な、スプラッターなアニメーション。

部屋の中の様子も、スタジアムの雰囲気も、とってもレトロ。
TV観戦しているチェコのおっさんはサッカー好きなのだろうが、シュヴァンクマイエル、サッカー好きなのだろうか。
なんかそうは思えないなー。
サッカー選手がどんどん破壊されていくのって、私にとっては見るに堪えない。
それもこれでもか!っていうくらい残酷描写です。
気持ち悪いよ。
でも、才能は認める。

「男のゲーム」
ヤン・シュヴァンクマイエル監督1988年チェコスロヴァキア

2010年10月3日日曜日

「アイ・コンタクト もう一つのなでしこジャパン」

先日、誠に惜しくも、PK戦で敗れての準優勝だった、U17女子。
大、大、大健闘でした!

木村元彦『蹴る群れ』をちょこっと読んだくらいですが、女子サッカーって、タフですね。
彼女らのサッカーをすること自体への執念の凄まじさに触れてしまうと、男子の方の日本代表は、(普通にワールドカップ本大会にも出場するようになったものの)<恵まれすぎて温い>という通り一遍の印象を持ってしまいます。
(彼らだって絶対ものすごく努力しているに決まっているけど。)

知的障がい者サッカー日本代表のドキュメンタリー映画「プライドinブルー」の監督中村和彦さんが、デフリンピック(ろう者のオリンピック)に初参戦した日本女子代表を撮った作品(大会は2009年9月に台北で行われた)「アイ・コンタクト もう一つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー」は、ポレポレ東中野で上映中ですが、10/8(金)までだというので、急ぎ観てきました。

ポレポレのある地下一階への階段では、なでしこたちのミニ写真展。


日曜の昼間ですが、そんなに混んではいませんでした。
観客の中にはろう者の方もかなりいらっしゃるようです。
ロビーでは文字での案内もありました。
上映終了後には中村和彦監督のご挨拶がありました。
且つサイン会も。
(私もいただきました。)
映画はきわめてまじめな、というかまともなドキュメンタリーでした。
正攻法です。

前半はサッカーの場面は殆どなく、ろうであること、また手話について語られます。
学校教育で、口話が奨励され、手話については(口話が進まないということで)禁じられさえしたのだ、ということが強調されているようです。
確かに手話に「頼らない」人の方が、「健常者」にとって聴きとりやすい話し方をするようではあり、口話法奨励は「障がい者」をいかに「健常者」に近づけるかというものであるようにも思えました。

全員か、殆どの人は生まれたときからのろうであるようだが、障がいの程度、受けてきた学校教育、現在の職場等はそれぞれ。
彼女たちがどのようにしてサッカーと出会い、普段どのようにしてサッカーと関わっているのかは、もっと丁寧に描いてほしかったです。
きっかけを話してくれた二人の選手は、小学生の時にサッカーを始め、中断はあれどフットサルやサッカーのチームでプレイを続けているという、サッカーのキャリアの長い部類に入るのだけど、
「日本代表ってすごく夢のある言葉、レベル高いんじゃないかって思っていたけど、参加してみると、あれ?初心者多いなって」
という発言にあるように、多くはサッカーを続けてきた人ではないようだ。
何せデフリンピック初参加の、初日本代表なのだ。
その初心者たちはどのようにしてサッカーと出会い、彼女たちにとってサッカーはどういう位置づけになるのだろうか?と。
さて、練習の風景は殆どないままに、いきなりデフリンピック開幕。
実際、練習試合とかあんまり組めなかったということだろうか。
う~~~~む。
守備がね~~~、厳しいなあ。
DF同士、DFとGKとの連携が…。
しばしばゴール前ががら空きになってしまう。
「声をかける」というコミュニケーション手段が断たれているということはやはり相当厳しい。
そこはこうやってよ、と伝えるのにどうしたらいいのよ!
皆前しか向いていないじゃないの?!
と訴えるGK。
顔を上げ、周りを見る。
見ることでのコミュニケーションをより心がけなければならない。
それはわかっているが…。

最終戦。
音が消される。
良いアイデアなと思います。
ただ…字幕がちょっとセンチメンタルにすぎたと感じました。
監督さん、サッカーが好きだし、彼女たちへの思いれが凄く入っていて、エモーショナルになっているのですよ。
いや、観客だってそうなっているところなので、字幕で盛り上げなくてもいいのです。
いや、却って水を差してしまいます。

試合ごとに成長が著しい。
ちゃんと練習試合ができていたら、凄く強くなるんじゃないか?!
(正直、ホームレスワールドカップの「野武士ジャパン」の面々より見込みありそうに思った。)
4年後が楽しみ。

「アイ・コンタクト もう一つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー」
中村和彦監督2010年日本

2010年10月1日金曜日

「ワイルド・ワイルド・ビーチ」

よりによって、歴史的大敗記念日

「ワイルド・ワイルド・ビーチ」も、「ルサルカ 水の精の恋」と同様、舞台はロシア南部の黒海沿岸のビーチ。
海水浴にやってきた人と商売している人たち(中央アジアの方からラクダなんか連れてきて一緒に写真撮りましょうビジネスしている)のドキュメンタリーで、何とも言えない雑多な題材・作風。
そんな中で、夜浜辺のテントの中でサッカー中継を聴くというシーンがあります。
対戦相手はというとポルトガル。
ああ、あの試合か~。
2006年ワールドカップヨーロッパ予選のロシア対ポルトガル。
完敗*したんだよね。
と、既に結果を知っている私はそこで苦笑。
暴れだす輩がいるのではとさえ思いました。
試合が進むにつれて、案の定その場の雰囲気は暗~~~くなります。
まあ、さすがにそこでは暴動までは起こりませんでしたが、楽しくないことこのうえありません。
(でも、アウェイのポルトガル戦はさらに酷いことになったのだ。7-0だったよ、確か。*)

「ワイルド・ワイルド・ビーチ」
«Дикий, дикий пляж. Жар нежных»
アレクサンドル・ラストルグエフ、ヴィタリー・マンスキー、スサンナ・バランジエヴァ監督2006年(こちらでは2005年)

注:2006年ワールドカップヨーロッパ予選のロシア対ポルトガル戦のスコアを改めて調べてみたら、上で書いていたことはだいぶ記憶違いがあって。
2004/10/13 ポルトガル 7-1 ロシア
2005/9/7 ロシア 0-0 ポルトガル
…でありました。
アウェイが7-0で、ホームが0-3だと思い込んでいた。
しっかりうろ覚えだった。
辛い時代だったなあ。
で、結局このときはホームではなくて、7-1の歴史的大敗をしたアウェイの試合でした。

すかっとするサッカーのシーンが観たいのに。
「コサックのサッカー」みたいなのが。

2010年9月29日水曜日

ルサルカ 水の精の恋

サッカーなんか大嫌い

アンナ・メリキャン監督「ルサルカ 水の精の恋」«Русалка»2007年ロシア

ここまでロシアのサッカー映画がなかった。
ええ、実はこれといったものがないんですよ。

ドニエプル・ドニエプロペトロフスクのアニメーションの紹介で触れた、アンナ・メリキャン監督の「ルサルカ 水の精の恋」を、行きがかり上書いておきましょうか。

2009年10月17日拙ブログより
題名から想像がつく通り、凄い悲恋ものです。
ロシアだなあ…。ハリウッドじゃこういうの無理でしょ。
ルサルカはスラヴの伝説に出てくる水の精。
ドヴォジャークのオペラ、数年前にNHK教育TVで放映していましたが、殆どアンデルセンの『人魚姫』ですね。
アレクサンドル・ペトロフのアニメーションでも同名の作品(邦題は「マーメード」)がありますが、こちらは男を恨んで化けて出てきた妖怪という趣です。
セイレーンみたいに魔力で水に引き入れてしまいます。
アンナ・メリキャン監督のこの「ルサルカ」は、幸薄い少女アリサ(マーシャ・シャラーエワ:適当にブスっ娘)が多大なストレスを抱えているいかがわしいビジネスマンのサーシャ(エヴゲニー・ツィガーノフ:つくづく嫌な男である)に恋をするけど報われず。
しかし、似合わんカップルだなあと思っていたら・・・ある意味納得のラストだった。
いやはや、モスクワって、あんなに自己啓発系のコマーシャルが氾濫しているのだろうか???嫌だな。
・・・ところで、今ウクライナプレミアリーガを観ているのですが、メタルルグ・ザポロジエとドニエプル・ドニエプロペトロフスクの試合の前に、短いアニメーションがあって、ちょっと愉快でした。
赤いチーム(メタルルグ)青いチーム(ドニエプル)がサッカーをしようと川を渡ります。
ドニエプルは帆船、メタルルグは筏で。←紋章によっています。
猫も乗ろうとするけどレッドカードを出されてしまいます。
試合が始まるけど、ボールが川に落ちてしまい、両チームの選手たちはまず橋の上から釣竿を垂れます。ボールを釣ろうというの??
次にそれぞれゴールを動かして網代わりに掬おうとします。
ドニエプルのゴールにかかったのは水の精(ルサルカ)。
選手大喜び。
メタルルグのゴールにはボールがかかり、1点入りました!というオチ。
そこを退場になったはずの猫がお魚くわえて横切っておしまい。
しかし、現実の試合では、ドニエプルが先制しましたよ。
開始5分でルスラン・ロタンのGOOOOOOOOOOLLLLL!!!!!!!
それはさておき、ルサルカです。
自己啓発系のCM氾濫も含めて、「今のロシア」を掬い取った作品ですね。
日本ではなかなか紹介されにくい現代ロシアの姿です。
2007年制作ですが、ストーリーは前半は1991年(アリサ6歳)たぶん黒海沿岸の町、後半は2002年(アリサ17~18歳)モスクワ。
アリサの18歳の誕生日は2002年の6月9日。
ロシアがワールドカップグループリーグ第2戦で日本に負けて、モスクワで暴動がおこった日。
それが映画中に表れ、アリサはそのとばっちりを受ける。
「サッカーは嫌い」「サッカーなんか大嫌い」というモノローグが繰り返される。
確かにあの日、サッカーを嫌いになったモスクヴィチカは多いだろうな。
(略・・・この部分は後日書きます)
おお、ドニエプル2点目。
ぽっかりとセレズニョフのミドルが入ってしまった。
あらら、3点目だ。ゴメニュクかな?
どどどフリーじゃないですか。
とまあ、サッカー観ながらめちゃくちゃなこと書いていますが、この映画にサッカーのシーンは一切出てきません。
サッカーのおかげで酷い目に遭ったヒロインが「サッカーは嫌い」「サッカーなんか大嫌い」とつぶやき、そして恋に落ち、だからアリサ(ヒロインの名)は「サッカーは嫌」という前言を取り消したかもしれません。
でも結局は…。

ロシア映画でサッカー絡みって、サッカーファンとしては何だかなあなんですよね~。

2010年9月28日火曜日

祝!公開決定!!!エリックを探して

右が固けりゃ左を攻めろ

ケン・ローチの新作「エリックを探して」(原題:Looking For Eric)は

・・・駄洒落じゃん!? 
別にエリックを探しはしてなかった。
King Ericって言いたかっただけでしょ?!
コメディーだというので軽いノリだろうとなめていたが、思ったよりシビアな面もあった。
さすがケン・ローチ。

以前ならイングランドではサッカーを観るのは基本的人権という認識なので(幸福追求権かな)、TVは無料放送、チケットもお手頃値段だった。
が、今では高い衛星放送、チケットも値上がり。
マンチェスター・ユナイテッドの大ファンの主人公も、「もう10年もスタジアムに行っていない」と言うし、パブでは仲間たちが最近のプレミア批判を繰り広げる。

自ら企画を売り込んだだけあって、エリック・カントナ(写真左:本人)の魅力炸裂です。
ベストゴール集を観ているよう。
で、マンチェスターで郵便の仕分けをしている、公私ともにダメ男のエリック(写真右、スティーヴ・エベッツ)に優しく厳しくアドヴァイス。
それがシンプルでわかりやすい助言なんですよ。
カッコいい~~~~!!!
カントナはフランス人なので、フランス語の格言(←主人公にはわかりません)なんか混ぜながらですが。
「人生で最高の瞬間は、***戦のゴールか?それともベッカムのコーナーキックを決めたゴールか?それともカンチェルスキスの***を+++したあれ?」
と主人公に聞かれ、
「ゴールじゃなくてパスが決まった時」
と応えるカントナ。
「仲間を信じろ!」ってことですね。
「うまくいかないときは状況を変えてみろ」(髭をそってみる主人公)
「可能性を広げろ」
「右が固けりゃ左を攻めろ」
(今朝のルビンはそうだったな)*注あり
まあ、冷静になって考えれば誰しも思いつきそうな言葉ですが、そんなんでうまくいけば世話ないだろ、とか言いたくもなるものだったりもしますが、主人公が大いにリスペクトしている人物から言われた言葉だというのが重要です。
だから素直に受け入れてみるのです。

そのうえ、カントナ大サービスで、トランペットの腕まで披露。うまくないけど。
9か月の出場停止をくらっていた時、何か目標をと始めたそうです。
さらにダンス(しかも女役)も・・・!

主人公とその家族、絶体絶命の状況から、郵便局の仲間(ルーニーを彷彿とさせるようなおっさんたちだ)とともにエリック・カントナ作戦行動開始!!!
(このへんは「ブレッド・アンド・ローズ」落ちって感じもする。)
大笑いだ!
痛快なラストへ。
そして最後の最後まで見逃さないように!
上映後拍手がわきました。

・カンチェルスキスが出てきたのには感激。
・主人公の家族構成はちょっとわからなかったな。
最初の妻で今でも大好き!なリリーとの間に優等生の女の子(デビーって名前だったか)、その子ども(つまり主人公の孫)がいて、同居しているのは別の女性との子どもである息子二人。
その別の女性は全く登場せず、「服役中」という情報もウェブ上で見かけた。
上の息子は英国人の容貌で、下の息子はアフリカンな感じ。主人公はリリーのことはすごく思っているけど、息子の母親のことは一切話題にしない。
・リリーはいかにも医療労働者という風貌の女性。
・郵便局の仲間はお約束のように素敵だ。

(以上は2009年10月22日に拙ブログKocmocKocmaのスペース・ダーチャに書いたものです。)
*今朝のルビン
2009年10月21日CLグループリーグバルセロナ対ルビン・カザンの試合のこと。
ルビンが1-2でバルセロナに勝利(しかもアウェイで)。ルビンはこれがCL初勝利でした。
バルセロナは当時世界最強と言われていたらしいんですよ、わははははは。

さて、昨年の東京国際映画祭で観て、一般公開を切に願っていたこの作品、いよいよ決まったようです、ウラーーーーーーーーー!

配給:マジックアワー/IMJエンタテインメント
12月~Bunkamura ル・シネマ/ヒューマントラストシネマ有楽町

2010年9月26日日曜日

プロミス

パレスチナ情勢が比較的穏やかだった1997年~2000年に撮られたドキュメンタリー映画「プロミス」では、パレスチナ人・ユダヤ人の少年少女主に7人に取材し、その交流を描いています。

簡単に交流と書いてしまいましたが、現実には全く簡単なことではありません。
すぐ近くで生活していても、彼らは今まで会ったり話したりしたことはありませんでした。
ユダヤ人の双子の兄弟ヤルコとダニエルと難民キャンプ育ちのパレスチナの少年ファラジが、会うまでは互いに逡巡すること多々ありました。
ファラジの写真を監督から見せられた双子は
「足が速そう」
「でも頭悪そう」
とか言いながら、興味津津。
しかし、ファラジは最初は会うのを拒否し、女の子に説得されて会うことにします。
(が、いざ会うとなると、積極的で、当日の朝、デートの前のように鏡の前に張り付き、香水までつけて、双子たちを待つ。可愛い。)

いざ会ってみると、
「サッカー、どこ応援しているの?」
「ブラジル!」
「僕も!」
そして周りの子を交えてサッカーを始め、あっという間に打ち解ける。
さすがサッカーだなあ、と思わせます。

ファラジと双子たちはその後何回かは会うことができましたが、2002年のベツレヘムのキリスト生誕教会のイスラエル軍包囲など、パレスチナとイスラエル両者の関係はどんどん悪くなり、双子たちがパレスチナ側にやってくることは不可能になってしまっているとのことでした。

一方、アディダスのジャージを着てサッカーに興じるパレスティナ少年と、聖職者志向の秀才?ユダヤ人少年は、なぜかゲップ合戦を始める…。
何なんだ???
大人の方もそんなんで済ませればいいのに。

あの子たちはあれからどうしているのか。
もう徴兵年齢になっているでしょう。
心配が絶えません。

下記のようなニュースもありました。
エルサレムの街中で、店の軒先や通りにテーブルを出す飲食店が目立つようになった。自爆テロが頻発したころを知る人なら目を見張る光景だろう。屋外営業の広がりは「安全」の証しとも言えるが、和平の動きは進んでいないのに、どう「安全」は導かれるのか。イスラエル人の知人が「壁の効果」と言ったのを、ベルリンの壁崩壊20周年のニュースを見ていて、思い出した。

イスラエルが02年に占領地ヨルダン川西岸で建設を始めた「分離壁」。テロを計画するパレスチナ人の侵入阻止を名目に、西岸をぐるりと取り囲む。一口に「壁」とくくられるが、高さ約8メートルのコンクリート壁の部分と、感知センサー付きのフェンス部分が混在する。総延長は700キロ超で、ベルリンの壁の約4・5倍の長さがある。
イスラエルの携帯電話会社の広告に、こんなテレビCMがあった。
<サッカーボールが分離壁を飛び越えてくる。パトロール中のイスラエル軍の車両を直撃、兵士は身構えるが、ボールと分かりけり戻す。すると再びけり返されてきた。歓声を上げる兵士。携帯電話で仲間を集め、壁を挟んでゲームが始まる>
毎週金曜日に分離壁反対のデモが開かれる西岸の村で、このCMが「実演」された。パレスチナ人がサッカーボールをけり込むと、イスラエル側から返ってきたのは催涙弾だった。パロディーとは笑えない、これが現実。
いつか分離壁がなくなる日は来るのだろうか。うわべの「安全」を享受した人々から、和平への思いは薄れているような気がする。【前田英司 2009年11月22日 毎日】
「プロミス」
ジャスティーン・シャピロ&B.Z.ゴールドバーグ&カルロス・ボラド監督2001年アメリカ

リーニャ・ヂ・パッシ

いよいよサッカー界の王者ブラジル登場。
サッカー王国ではあっても、サッカー映画王国ではないのがブラジル。

「リーニャ・ヂ・パッシ」Linha de Passe
ウォルター・サレス&ダニエラ・トマス監督2008年ブラジル
「リーニャ・ヂ・パッシ」といのは、4人でボールを下に落とさないようにパスしていく遊びだという。
映画中で4人兄弟が興じている場面があった。

辛口の青春映画&家族映画。
「セントラル・ステーション」の男の子の10年後。
長男を演じた彼以外は素人だというが、母親役の人は上手い!
父親の違う子どもを産み育て、“ヨーヨークラブ”(昇格・降格を繰り返すクラブ)であろう地元のサッカークラブの応援に余念がない。
それも体当たり演技!というのではなく、実に自然にふるまっている。
カンヌで主演女優賞を獲ったのもうなづける。

アルゼンチンの「今夜、列車を走る」と同じように、貧困と失業にまみれた世界からの出口を模索する若者たち(兄弟)を描いているが、こちらのラストはあまりハッピーではない。
サッカー、犯罪、宗教、家族。
ブラジル人にとっての身近なものをテーマにしている。

一番上の子(「セントラル・ステーション」の彼)はプロの選手としてスカウトされるのにはぎりぎりの年齢。
才能がないわけではない彼は焦る。
プロになれなければ、他にまともに生きていく術が考えられないのだから。

日本で上映される南米映画って、明るい雰囲気のものは殆どないなあ。



ヴィーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由

ドイツのコメディー映画「ヴィーナス11~彼女がサッカーを嫌いな理由」
ウテ・ヴィーラント監督ドイツ2006年
フィンランド映画「FCヴィーナス」(未見)のリメイクです。

ワールドカップが近付くと、必ず「彼が私のことをそっちのけでサッカーに夢中になる、サッカー憎し!サッカーなんか大っきらい!!」という女性たちの投書、ときにはデモンストレーションがありますね。
そういうのをネタにした、思いっきりベタでお下劣な、実にドイツらしいサッカーコメディーです。
シモネッタ&ガセネッタ満載、果ては秘技・男体盛りまであるので、カップルにお薦めと書いたけど、食事をしながら観るのはよくありません。

登場するのは地方のアマチュアクラブ。
時折「カッコいいと思うクラブ名」でドイツ語のクラブが挙がるけれど、主人公がプレイするのは「イマー95」というクラブ名。
ドイツ語を全く知らないので語感がつかめないのですが、なんかイマイチだなとつっこみたくなるような、ぱっとしないネーミングと感じてしまいました。
かなりの弱小クラブという設定です。

主演のクリスティアン・ウルメン、ヒロインのノーラ・チルナー、一番おいしい役どころのアンドレーアス・ピーチュマン(ドイツのイケメン俳優として結構人気らしい、この人目当てで観た人もかなりいた模様)、フロリアン・ルーカス(私が知っていたのはこの人だけ)ら、売れ線の俳優をそろえている中で、この弱小クラブが試合をしている冒頭の場面、「うわあ、ヤン・コレルさんみたい!!」と思った巨体の人。
出番はこのときと最後の方の試合の後半しかないようなものなのですが、他の人と動きが違って格段に上手いのです、コレルさんみたいに。
このディノ系のVolker Ippigさんは、やっぱりプロだったのだ。
映画中ではFWですが、GKでした。
現在はヴォルフスブルクのコーチだそうです。

幸せになるためのイタリア語講座

「幸せになるためのイタリア語講座」
ロネ・シェルフィグ監督デンマーク2000年

 

トラベラー

アッバス・キアロスタミ監督1974年イラン

そして人生はつづく








マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ

 

「ストーリーズ・オン・ヒューマン・ライツ」のThe Final Match

 

「それぞれのシネマ」の「ハッピーエンド」

映画館を巡る3分間の短編34本を集めた「それぞれのシネマ」
カンヌ映画祭60回開催を記念して世界各国の監督たちに制作を委嘱したオムニバス。
フランス他2007年
 
 
 
 

明日へのチケット

エンマルノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチという3人のパルムドール受賞者によるリレー映画「明日へのチケット」

オルミ編もキアロスタミ編もいいのですが、サッカーファンには答えられないのがケン・ローチ編。
ケン・ローチ編は、スコットランドのスーパー店員の若者3人組がCL準々決勝進出を果たしたセルティックの応援のためにローマに向かう列車の中で出会った試練を爽やかに(ローチにしては珍しく)痛快に描きます。
マンチェスター・ユナイテッドのレプリカユニを着ている少年は「ベッカム!」と呼びかけられても、「ほんとはラーションのファンなんだ」と答えてあげる礼儀をわきまえています。
この映画が日本で公開された年、セルティックとローマは本当にCLで快進撃したのでした。
実際に対戦はしなかったけど。
私がこのとき応援していたベンフィカ(カリャカがいたのだ)はセルティックに蹴落とされ、信じがたい思いでした!

セルティックファンの一人を演じたマーティン・コムストンは、前作「SWEET SIXTEEN」撮影当時モートンFCでプレイしていた元プロ選手です。

ラストはややローチらしからぬ、しかしさわやかな締めで、よろしいのではないでしょうか。

「明日へのチケット」
2005年イタリア・イギリス
監督はイタリア人・イラン人・イギリス人で、映画の舞台はローマへと向かう列車、ですがケン・ローチ編の中心人物がセルティックファンの若者たちなので、スコットランドにカウント。

ホームレス・ワールドカップ

「ホームレス・ワールドカップ」
スーザン・コッホ&ジェフ・ウェルナー監督2008年アメリカ

DVDが出たら、もう一度見直したい。
「この点はどうだったのか?」「それからどうなったのか?」等、作品では語りつくせていない部分も知りたいと思いました。
で、DVDは発売されたのだけど、まだ買っていないや。

気がつくと、上映時間が昼間だけになっていて、有休とって観に行ったんじゃないかな。
残念です。結構いい映画なのに・・・。
勤め人には平日行くのは無理じゃないか。
(公開当初は夜の回もあったのかもしれないが。)
ホームレス・ワールドカップは2001年に発案、2003年に第一回、そして今年は第8回(リオ)が催される、ホームレスの人のみが参加できる(出場できるのは一人一回のみ)ミニサッカーの世界大会。
この映画は2006年ケープタウンでの大会を撮ったドキュメンタリー。
焦点が当てられているのは7人の選手。
アフガニスタンのナジブ、ケニアのアレックス、アイルランドのダミアンとサイモン、アメリカのクレイグ、スペインのヘスース、ロシアのスラヴァ。
この大会を機に、多くの選手が仕事や住居を得るなど、立ち直りのきっかけをつかんだとのことです。
それでも全員ハッピーエンドとはいかないのが現実の厳しいところ。
(選手たちのその後が示されるラストに愕然とした。)
それにゲームは勝負だから、ここでもやはり勝者と敗者ができてしまう・・・。

決勝戦はさすがになかなかよいプレイがありましたが、48カ国参加のグループリーグの試合は一方的なものが多いです。
最初のうちはスコアをメモしていたのですが、試合が多すぎで途中で断念。
本気で優勝を狙って強い代表を組む国あり、強さよりもこの手のサポートを本当に必要としている人を代表入りさせた国あり。
選手たちにしても、年甲斐もなくスカウトされることを夢見ている人がいたり、逆ナンパされてうきうきしている人がいたり(←おそらく試合どころではなくなっている)、よせばいいのにしゃしゃりでてPK
失敗で監督を呆れさせる人あり、いろいろです。

印象的だったのはパラグアイの女性選手ニレサ。
「焦点が当てられている7人」ではないので、どういう事情でホームレスなのかや、大会後どうなったのかもわからなかったけれど、試合自体もこの大会も人生も十分楽しんでいるようでした。
彼女が積極的にアプローチしたのは、「えっ、この選手?」と一瞬意外に思った人でした。
言葉の問題からも、互いの国の距離や環境の違いから言っても。
けど、やっぱり私でも彼を素敵だと思うでしょうね。
喜びを踊りで表現する彼は、レズギンカを舞うアラン・ザゴエフを彷彿とさせました。

全く言いつくせていないのですが、佳作です。
日本の全ての人にとって「明日は我が身」というわけでもないですが、全く無関係というわけでもありません。

監督はアメリカ人で、舞台は南アフリカですが、カテゴリーは主要選手2人がいたアイルランドということにします。

マラドーナ

「マラドーナ」
エミール・クストリッツァ監督2008年スペイン・フランス

原題は「クストリッツァによるマラドーナ」でして、実際そのとおりサッカー好きな映画監督クストリッツァがサッカー界のスターを撮りましたっていう映画です。

日本未公開作品の「ドリー・ベルを憶えているかい?」をはじめとして「パパは、出張中! 」「ジプシーのとき」「アリゾナ・ドリーム」といったクストリッツァの初期作品の映像が拝めるのは嬉しいのですが、一方この映画の主役たるべき撮る対象(マラドーナ)が大物すぎて、クストリッツァが<出過ぎている>印象も否めません。
バランスが悪いというか。
失礼ながら笑えたのは「自分には女性というものがまったくわからない」という監督の独白でした。
(字幕には現れなかったが、「私の映画をご覧になっている人ならご承知であろうが」みたいなことを付言している。)
そうでしょうとも!
自覚はあったんだ。

ウィニング・チケット-遥かなるブダペスト

 
 
 
 
 




 

ホレム・パーデム

「ホレム・パーデム」
ヤン・フジェベイク監督2004年チェコ

何家族かの群像劇の中でも、飼い猫をポボルスキーと名づけているスパルタ・プラハファン(というよりフーリガン)の一見怖そうな若者が印象的。
スパルタファン行きつけのバーでの応援場面では、「スパルタ・プラーハ!♪♪ ♪ ♪♪」と、思わず一緒にチャントをやりそうになってしまうのですが。

ラストはネドヴェドのレプリカユニを着た子の笑顔。
でもネドヴェドが観たらおそらくすごく複雑な思いがするでしょう・・・。

ホレム・パーデムはチェコ語でアップ・ダウンのことだそうです。

ルドandクルシ

同じ日に、ガエル・ガルシア・ベルナルとディゴ・ルナが兄弟サッカー選手を演じる「ルドandクルシ」と、名匠クリント・イーストウッド監督作品「インビクタス 負けざる者たち」を観てきました。

私がラグビーよりサッカーが好きであり、南アフリカよりラテン・アメリカに親近感を持っている(根拠は特にない)せいもあるかと思いましたが、あのイーストウッドの、と期待していた「インビクタス」よりも、奇作怪作の類かと思っていた「ルドandクルシ」の方が、10倍くらいよかったです。

もちろん「インビクタス」も決して悪くはないのですが・・・でも予定調和的で、お子さま映画っていう印象です。
モーガン・フリーマンはマンデラにむちゃくちゃ似ていたし、マット・デイモンもいい味出しているのですが、何かが、かなり足りません。
マンデラ言うところの「復讐ではなく赦して和解する」という新しい国造りの基本理念。
そう言われても、政権をとった黒人側にも政権を追われた白人側にも、それに対して当然戸惑いや反発があるのだろうけれど、あ、そうですか、マンデラさんが言うならわかりましたって感じで、納得できるような描き方がされていませんでした。
ラグビーの南ア代表が、なぜ、どのように、ワールドカップ本大会まで強くなったのかもわかりませんでした。
(選手たち(一人のカラードを除いて全員白人)がどんな思いで南ア全体の代表と心得るのかもあまり丁寧に描いてはいない。)
最後の決勝戦では、マンデラが直々に両チームの選手たちに声を掛けるのですが、実話だとしたら、随分なホームアドバンテージを許したものだと思います。スポーツに政治介入があからさまにされているようで、気分のいいものではありませんでした。
アメリカ人にとってはこういうのもありなのか?
でもまあ、決勝戦は素直に感動して観ましょう・・・。
それが可能ならいい映画です、きっと。

「ルドandクルシ」は、<メキシコ=ラテン=てきとー>という図式を前面に出している配給会社の売り方にはやや疑問を覚えます。
コメディータッチながら、サッカーと人生をビタースイートに考えさせられる映画です。
ビタースイートなサッカー映画と言っても、ケン・ローチやキアロスタミとはまた一味も二味も違いますが。
ガエル扮する弟もディエゴ演じる兄も、サッカーの才能があるのに、あんまりサッカーに優先順位を置いておらず、徐々に道を逸れていってしまいます。
それも人生。

ガエルが劇中で歌う『甘い罠』は、スペイン語がわからない私には「ケ~ロ、ケ~ロ、ケ~ロ」と冗談のように聞こえます。
このダサさが結構お似合いです。
ディエゴの扮するキーパー、カッコいいです。
何かを守っている姿には、サッカーでも現実の場でも、感動せずにはいられない、からでしょうか。
でもこれがダメ男なんだ、実際は。
彼らのお母さんはヴァネッサ・ペロンセルさん顔負けの奔放な過去をお持ちで、お子さんたちは皆父親が違うようですが、ブラジル映画の「リーニャ・ヂ・パッシ」のサッカー大好き母さんもそんなだったからな。
珍しいことではないようです。

大観衆注目のPK対決の前に、不振まっただ中でこの1本に再起に賭けるキッカー(弟)と連続無失点記録のかかるキーパー(兄)がお話合いをしてしまうのは、いかにもありえない設定で、その点サッカーファンからクレームがついているようですが、そこだけは大目に見ないと。
メキシコ映画界の俊英たちがしっかりプロデュースして真面目に作っている映画です。
邦題をもう少し工夫してくれたら、と思うと残念です。

オフサイド・ガールズ

「オフサイド・ガールズ」
ジャファル・パナヒ監督2006年イラン

数あるサッカー映画の中でも、特に大好きな作品です。

2006年ワールドカップアジア予選も終盤の2005年6月8日、イランはホームのアザディスタジアムにバーレーンを迎え、この試合に勝てば本大会出場とあって、スタジアムには続々とチーム・メッリ(サッカーイラン代表)を応援しようという人たちが押し寄せます。

イランでは女性がスタジアム観戦することは禁じられていますが(一部例外あり)、やっぱり見たい!どうしても生でワールドカップ出場の瞬間が見たい!という女の子たちはあの手この手で潜り込もうとします。

変装姿もいかにも場違いな、男の子になんか見えないよっていう感じの少女も、ダフ屋に足元を見られて値を釣りあげられ、アリ・カリミのポスターまで押し売りされ(このポスターはその後意外と使いでがあったが)、それでも彼女はこの試合をアザディに観に来なければならなかったのです・・・。

この映画をいいと思うのは、女の子パワーの迫力・新鮮さを素直に出しているということに加えて、イランにおける「格差」を、男女の問題のみならず、地域や階層の問題としても描けているところです。
スタジアム警備の兵士は地方出身の若者。
試合の行方とともに、実家の家畜がどうなっているのかが気がかり。
議論となると、女の子たちに適うわけがありません。
彼にとっては、禁じられている試合観戦にやってくる「オフサイド」な女の子は、都会の、高学歴の、優雅な、別世界の人間。
こんな子たちのお遊びの始末のために働かなくちゃいけないのかよ、俺は・・・とかなんとかぼやかずにはいられません。

ラストは(試合の結果を知っているからだけど)実に予想どおり、いわば「明日へのチケット」落ちです。

なお、監督のジャファル・パナヒさんは、この映画製作後、イラン当局との軋轢が大きくなっています。
特に、昨年7月にアフマディネジャド大統領再選の混乱の中での犠牲者追悼集会の折に一時拘束されたり、ベルリン国際映画祭への参加を妨害されたり。
今年の春にはかなり長期にわたって拘束されていました。
彼が現政権に批判的であるのは間違いないですが、マフマルバフ一家の、特に長女のサミラさんなんかの方が対決姿勢としてはより先鋭的なのではないかと思っていたのですが・・・。

サッカーの試合見たさに、冗談ではすまされないレベルの嘘を重ねてチケット代を稼ぎ、アザディにやってくる、イラン少年にしてはあんまり可愛くない男の子を描いた「トラベラー」。
大地震の後の瓦礫の中から、まずはラジオを掘り出して、ワールドカップの試合中継を聴こうとしている人々が印象的だった「そして人生は続く」。
そして、「私たちだって試合が観たい!」と、禁じられた生観戦に挑む女の子たちを見せてくれた、パナヒ監督の「オフサイド・ガールズ」。
サッカー映画の分野でも、綺羅星のごとく才能が輝いていたイランなのですが。
しかし、こういう「弾圧」が繰り返されると、バフマン・ゴバディのようにイラン国外に出るという選択をするしかなくなったり、自主規制をしたりするようになってしまうでしょう。
これからのイラン映画は、のみならず、イランは、どうなってしまうのでしょうか。
案じています。

僕たちのキックオフ

「僕たちのキックオフ」
シャウキャット・アミン・コルキ監督
2008年イラク・日本

2008年のNHKアジアフィルムフェスティバルで上映され、2009年のアジアフィルムフェスティバル開催に合わせてBSかなんかで放映されたようです。
今後もNHKで放映があると思われます。

年配の観客には極めてショッキングなラストだったようです。
「アフガン零年」「午後の五時」などもそうですが、見ようによっては厳しいというか、救いがないように思える物語かもしれません。
が、ともかくこれが当地の現実であり、監督さんはむしろ次世代に引き継がれる希望を描いたつもりのようでした。
しかし、映像は幻惑的というか、やたらと芸術的な香りがするといいましょうか、若干レンフィルムっぽいというか。

キルクークのスタジアムに難民として住みついている青年がサッカーのゲーム中に地雷で足を失った弟(ジダンのレプリカユニ着用の美少年)を力づけるためにサッカーの親善試合を企画。
アラブ対クルド、トルコ対アッシリア(シリア系のキリスト教徒)。
そして勝者で決勝戦。
いや、民族ごとのチームではない方がいいのでは?と思っていたら、トルコ人GKが民族の枠を超えて助っ人に。
大人はやめとけと言いますが、そうそう、そうでなきゃ。
美少年(主人公の弟+トルコ人GK)だけでなく、美女(主人公の隣のアラブ人一家の娘)も出ます。
監督さんはユヴェントスのファンだとおっしゃっていました。

一縷の希望も見えない、という感想を持つ人もいるのですが、あの監督さんにしてみれば、あのラストは「絶望のみ」ではなく、子どもたちの未来に希望を託すということだったのだと思います。
ただ日本の観客には悲惨な結末という印象が強く刻みつけられてしまったようです。

私自身は、災害・戦禍に際し、サッカーというものは、絶望の淵で最後まで残る希望、そして復興の萌芽として最初に芽生える夢として描かれてきたのだ、との思いを強くしました。

特に、キアロスタミの「そして人生は続く」、エラン・リクリスの「カップ・ファイナル」、ジャスティン・シャピロ&カルロス・ボラード &B・Z・ゴールドバーグの「プロミス」 等の西アジア映画を思い出しました。
これらの作品についても、順次書いていくつもりです。

ワン・デイ・イン・ヨーロッパ

「ワン・デイ・イン・ヨーロッパ」

ガラタサライ対デポルティボ・ラ・コルーニャという顔合わせのヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝がモスクワで行われている日の、モスクワとイスタンブールとサンチアゴ・デ・コンポステラとベルリンの四都市。
各都市に災難の中で呆然とする旅行者(一部狂言あり)とこすからい手合と親切な人と騒ぎを起こすお馬鹿なファンと仕事をせずテレビの試合中継に見入っている警官たちとがいます。
試合はバレロンでデポルティボ先制、ハカン・シュキルでガラタサライ同点、そしてハサン・サシュが・・・。

この組み合わせのCL決勝というのはいまいちリアリティーがないかもしれません(ヨーロッパリーグならともかく)が、お節介なまでに親切なモスクワの豹柄おばさま、悲しい顔をすると自殺を疑われるハンガリー人等々、ステレオタイプを描いているようで、それをひっくり返すオチのつけ方も各都市のエピソードごとに工夫が見られ、結構好きなサッカー映画です。

・・・といっても、監督自身の言によれば「これはサッカー映画ではなく、ヨーロッパを描いた作品」なのですが、EU的なヨーロッパではなくUEFA的ヨーロッパであるといえましょう。
サッカーファンにお薦めです。

ドイツ映画祭で観て以来、「公開してほしい!」と強く願っていましたが、公開されたときには池袋のちょっと怪しい場所でのレイトショーだったせいもあり、全くヒットしませんでした。
配給会社が売り方を間違えたとしか思えない。
サイトもプログラムもお粗末だったし。
いつになったらDVD発売されるのかなあ・・・と半ばあきらめかけていましたが、昨年9月4日に発売になっていました。
販売元はアップリンク。
ならアップリンクファクトリーで発売記念上映してくれないか???と思ったのですが。

監督さんはほんとに気のいい方で、上記のドイツ映画祭ではサイン入りポストカードを配りまくっていました。
「スパシーバ!」と言うと(ドイツ人監督なのに、なぜこう言ったかは、映画を観てのお楽しみ)、笑って「パジャールスタ!」と返してくださいました。

ロシア・トルコ・スペイン・ドイツが舞台となって、登場人物はさらにフランス人・イギリス人・ハンガリー人等々ですが、監督がドイツ人でドイツ映画祭で出会った映画なのでドイツにカウント。

2010年9月25日土曜日

ビューティフル・ピープル

ジャスミン・ディズダー監督
1999年イギリス

戦禍を免れてボスニアから来た人々と迎えるイギリスの人々との交流を同時進行する5つのエピソードで描きます(各エピソードは、ストーリー上は独立していますが、共通の脇役がいたり、あるエピソードの登場人物が別のエピソード中で通過したりしているのは「明日へのチケット」と同様)。

この時期にヨーロッパでは盛んに作られたユーゴスラヴィア紛争ものの映画としてカウントされることが多いこの作品、ボスニア出身の監督曰く「描きたかったのは戦争ではなく(多民族都市としての)ロンドンだった」のであって、彼にしてみれば「サッカー映画じゃないよ」とも言いたいかもしれませんが・・・。

サッカーが絡んでくるのはジャンキーでフーリガンの若者がひょんなことからボランティア英雄になる「気がつけばボスニア」。
19931013日にロッテルダムで行われたワールドカップ予選オランダ対イングランド戦を応援しに行くけど、イングランドが負けて地元のサッカーファンに喧嘩を売り、返り討ちに。<気がつけばボスニア>の地では、着用していたレプリカユニのおかげで戦災孤児にリネカーと間違えられてしまいます。

イギリス人がボスニアの実母から子どもを取り上げ養子にしたのを美談にしていた「ウェルカム・トゥ・サラエボ」では釈然としなさが残ったものですが、こちらの作品は後味の悪さが一切なく、無理なくハートウォーミングであるのもよかったです。

制作されたのがもう10年前になるのですね。
1999年のイギリス映画ですが、監督がボスニア出身なので、ボスニア=ヘルツェゴヴィナにカウント。

パリ20区、僕たちのクラス

2008年カンヌ映画祭で最高賞を取った、ドキュメンタリー風の、でもドキュメンタリーではない映画。
「パリ20区、僕たちのクラス」
原作はあり、原作者の国語教師がそのまま主演しています。

フランスは多くの移民を受け入れている国だというのは周知のこと。
パリ20区はとりわけ移民労働者が多い地区で、映画の舞台となっている中学校の生徒も、多くが非ヨーロッパ系と思しき子たちです。

映画では、主人公のフランス語(国語)の先生の授業と、職員室での先生たちの様子、成績会議や懲罰委員会といった会議、それにほんの少しだけですが休憩時間にサッカーに興じる光景が描かれています。

2時間8分となかなかの上映時間、且つわくわくどきどきのスペクタクルな展開や仕掛けがあるわけでなし、上記の通りのドキュメンタリータッチのいたって真面目な映画ではあるのですが、全く退屈することなくラストのサッカーのシーンまでいってしまいます。

男の子は、アフリカ・ネイションズ・カップが話題になり、それぞれのルーツがかなり明らかになります。
「僕にとって最高のモロッコ代表が出場を決めました。」というナシム。
ナシムから「マリの出場がダメになったら、大会を無視する。」「大会前は騒いでいたのに、マリが出場できないからと急に冷めるのはヘンだ」と、ほぼ名指しで批判されるスレイマン。
(自分が応援しているところが出ないとなると「急に冷める」、そういうのってごく自然だと私は思いますけど、ナシムくん厳しいなあ!)
「マリが出ないから黒人が応援するチームがない?コートジボワールが出ます!」と、ナシムに反論するブバカール。
それだけなら可愛いんだけど・・・
「ドログバと比べたらモロッコは二流。イングランドで活躍するモロッコ選手は?ゼロです。」
と、他国を貶めるようなことを言ってはいけないよ、ブバカールくん。
こうやって盛り上がるアフリカ出身の生徒たちに対して、
「アフリカ・カップの話はうんざり」という転校生の大人びたカルル(シャルルではないみたい)。
カリブのアンティル諸島の出身で、アフリカサッカーには興味がないのか。
応援している国はフランス。
「アンティル諸島もフランス領。アンリもフランス代表だ」というのが彼の論理。
自己紹介では「好きなもの」の筆頭にサッカーを挙げていました。
「嫌いなもの」はマテラッツィ。
私の一押しのラバくんは「毎年故郷のアルジェに帰る」と自己紹介に書いています。
「ジダンが好き。あとマルセイユも!」
無論アルジェリア出身ですね。
あとのシェリフ、ビュラクはアラブ系と思われ、アフリカカップの話題に加わっていないところをみると、レバノンとか西アジア方面の出身かもしれません。
アガムはスレイマンやブバカールよりカルルに似ているような気がするので、やはりカリブ出身かも。
ウェイは中国人で、サッカーをやっているときにクラスメイトから「ジャッキー!」と呼びかけられます。
ヨーロッパ系と思しきは、オタク風のアルチュールと幼げなダミアンの2人だけ。
(残念ながらアフリカ・ネイションズ・カップはほぼノーチェックでしたので、モロッコがマリに4-0で勝って本大会出場を決めたのはいつのことかわかりませんでした。)

女の子の方は、ルーツがはっきりわかるような発言がありません。
スレイマンの事情に詳しいらしいクンバは同郷なのかも?
超生意気なエスメラルダは、何とも不思議な風貌をしているし。
しかし、先生たちはほぼ全員ヨーロッパ系で、ミヒャエル・バラックみたいな歴史の先生フリデリック(なかなかの熱血教師)は素敵です。

母国と祖国、国籍とルーツが錯綜する状況を理解するにはまだ相当の想像力が要求されるのですが、まあ、大概は普通に出身地を応援しているものなのだな、と。
アフリカ・ネイションズ・カップのことも含めて、学校では友人と他愛ないことを恐らく真剣に議論するものなんだな。
いや、今でも同僚とサッカー話をするときはそうなんだけど。

瞳の奥の秘密

「仕事や宗教や配偶者は変えられても、贔屓のクラブは変えられない」

この“金言”は、ケン・ローチ監督の「エリックを探して」にもありましたが、こちらアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」にも、似たような台詞が出てきます。

アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞作品というのは当たり外れがあるのだけれど、70年代のアルゼンチンが舞台の作品というので、「オフィシャル・ストーリー」みたいな感じかな?と割と期待して、サッカーネタもあるしスタジアムも出てくると聞いて大いに希望を持って観たこの作品。

アルゼンチン映画なので、男性も女性も、主役から脇役に至るまでみ~んなえらく濃い!こてこてです!顔が。

メキシコのサッカー映画「ルド and クルシ」でへんてこプロデューサーを怪演していた俳優さんがここでも脇役でいい味出しています。
が、ラテン=お気楽で明るく、異性のこととなると無我夢中というステレオタイプを見事に裏切ってくれますよ。
ハードボイルドと言ってよいほど抑えた情熱が通奏低音となり、今は退職した裁判所書記官(渋くていい感じ)が25年前に担当した忌まわしい事件が語られていきます。

アルゼンチンの司法制度では予審制度をとっているのかな?
判事補や書記官が刑事事件の捜査をしているんですね。
映画的演出として大目に見ますけど、主人公たち、どう考えてもそれ違法でしょ!みたいな手段をとりつつ、殺人事件の容疑者を割り出していきますが、その際に上記の“金言”が生きてくるわけです。
ここまで(サッカーネタが出てくるまで)結構長いです。

沢山出てくる選手名、私にはわかりませんでした(70年代後半のラシンのレギュラーすれすれの選手たちなのだろう)が、知らなくても勿論楽しめます。
しかし主人公の元書記官がちょっとでもサッカーのことを知っていたら、もっと展開が早かったのに。
主人公のような、アルゼンチンの“ちょっとしたインテリ”層は、すごいサッカー好きと、サッカーなんか大嫌い派とに分かれるといいますが、主人公の場合好きでも嫌いでもなく、単に関心がない人です。
行きがかり上スタジアムに通い詰めることになったら、「もう月に4回も来ている」とうんざりしている様子。
(まあ、仕事ですから、観戦に集中できるわけではありませんし。)

原作者のエドゥアルド・サチェリは、実際に裁判所職員だったことがあるそうで、日本語には訳されていませんが主にサッカーをテーマとする短篇で人気を得ている作家だということです。
が、映画においては見どころの一つとなるスタジアムのシーン、原作にはないそうです。

そして、その後もストーリーは二転三転してまだまだ先は長いです。
全体にダークで重たい作品ですが、見逃さないで良かった!!!

注:
いかにも濃厚なラテンラヴロマンス、ではありませんが、恋愛ものが絶対に受け付けない人(サッカーファンにはいるかも…)には向かないと思います。
が、サッカーファンなら観ておきたい1本です。

チェルノモーレツ・オデッサ

オデッサ・スタジオと名乗るからにはこれを書かなきゃ。

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第12弾
チェルノモーレツ・オデッサ

昨シーズン、あと1点足りずに一部リーグに降格してしまった、我がチェルノモーレツ・オデッサの紹介アニメもございます。
(このアニメシリーズは2008-2009年あたりに製作されました。)




黒海艦隊の水兵たちは「戦艦ポチョムキン」で有名(ガンダムよりもです!)ですが、「ポチョムキン」は戦艦であって、潜水艦ではありません。
リュシュリュー階段にはほんとにセーラーカラーの水兵さんが通って、チェルノモーレツのチャントで盛り上がったりしています。
また行きたい…。
ザリャ(暁)・ルガンスク、アルセナール(ウクライナで第一回人民大会が行われた武器工場)・キエフ、オボロン(キエフの地区名)・キエフは未制作らしく、ザリャのファンが「うちのも作って!」と書いていたけど、できていないのかな?
昇格組のFKセヴァストーポリとヴォルィン・ルツクのも当然未制作です。

クリヴバス・クリヴォイ=ログ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第11弾
クリヴバス・クリヴォイ=ログ
クリヴバスは「クリヴォイ=ログ鉄鉱床(Криворожский железорудный бассейн)」の略。
クリヴォイ=ログは鉄鋼業をはじめとした大工業地帯。
他のウクライナの都市もそうですが、第二次大戦時の激戦地でした。

イリイチョーヴェツ・マリウポリ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第10弾
イリイチョーヴェツ・マリウポリ

マルクス・エンゲルス・レーニン(お面の人はたぶん彼ら)みたいなコミュニストがいまだ人気の土地柄なのか。
親会社のイリイチ(レーニンの父称)製鉄所は最近外資(たぶんロシア)参入の話で揺れていましたが…。

ヴォルスクラ・ポルタヴァ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第9弾。
ヴォルスクラ・ポルタヴァ
「ソロティンツイの定期市」・「ヴィー(妖婆・死棺の呪い)・「降誕祭前夜(チェレヴィチキ)」など、ニコライ・ゴーゴリの『ディカーニカ近郷夜話』中のキャラが登場して楽しい。
(原作は怪奇ものだったりするが・・・これ観ても全然怖くないですね!)


 

メタルルグ・ザポロジエ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第8弾。
メタルルグ・ザポロジエ



ザポロジエはコサック発祥の地として知られます。
誇り高いです。

自動車工場もあって、「ザポロジエ」という車を作っていますが、旧ソ連圏においてそれは「ポンコツ」の代名詞でした。(今もか?)

最後は圧倒的に勝つ!といいね、コサックくんたち。

メタルルグ・ドネツク

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第7弾。
メタルルグ・ドネツク

メタルルグはよくあるクラブ名ですが、「冶金工」という職業名そのままのネーミングです。
アニメに出てくるような重装備をして仕事をしているのでしょうか。
ご苦労なことです。

タヴリヤ・シンフェローポリ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第6弾。
タヴリヤ・シンフェローポリ

タヴリヤはクリミア半島の古名。
ヤルタとかのクリミアの保養地に行く起点。
ここまで鉄道、ここからバス。


カルパティ・リヴォフ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第5弾。
カルパティ・リヴォフ

(なお、当ブログでは、ウクライナの固有名詞はロシア語読みしていることが多いです。リヴィウではなく、リヴォフとしています。)
セルゲイ・パラジャーノフ「火の馬」に出てくるような角笛が出てきて、一見アルプス地方みたい。
キエフあたりからすると、カルパチヤあたりは随分とエキゾチックなイメージが持たれているのでしょうか。

メタリスト・ハリコフ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第4弾。
メタリスト・ハリコフ

他のクラブでは、試合相手は「ゴスチ(ゲスト・客)」と書かれているが、メタリスト(金属工)の相手はミュージシャンたちだ!!


ドニエプル・ドニエプロペトロフスク

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第3弾。
ドニエプル・ドニエプロペトロフスク

実は、このシリーズで最初に観たのはこの作品。
続く試合ではセレズニョフ大爆発で、ドニエプルが3-0で快勝したのでした。
ルサルカ(水の精)登場で大喜びする選手たち。

2010年9月28日追記
↑は2009年10月17日にアンナ・メリキャン監督「ルサルカ 水の精の恋」のことをブログに書きながら、ドニエプル・ドニエプロペトロフスク対メタルルグ・ザポロジエ戦を観ようとしていた時のことだったのでした。
相手のゴールの中にボールが入っていたので、ドニエプルの得点という意味だったのか。
それにしても、猫の行動は意味不明だ。
この日(2009年9月28日)の試合でのドニエプルの得点者は、ルスラン・ロタン、エヴゲニー・セレズニョフ、ウラジーミル・ゴメニュクでした。
「ルサルカ 水の精の恋」のことも、そのうち書くつもり。

ディナモ・キエフ

ウクライナのプレミアリーグクラブ紹介アニメ第2弾。
栄光の名門クラブ、ディナモ・キエフ

でも、このアニメでやっていることはかなりAHOです。

シャフチョール・ドネツク

ウクライナのプレミアリーグの試合前にちょろっと放映される(ことがある)、各クラブの特徴をとらえたショートアニメシリーズ。

第一作はシャフチョール・ドネツク
チグリンスキーが魅力的?!

コサックのサッカー

私にとってサッカー映画と言うと、これです。
"Как казаки в футбол играли"
「コサックのサッカー」原題:コサックはいかにサッカーをしたか
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なお、この作品はオデッサスタジオではなく、キエフスタジオ制作です。