オデッサ・スタジオ
このブログでは、サッカー映画について書いています。 背景の写真はオデッサの撮影所です(2007年夏撮影)。
2010年9月26日日曜日
そして人生はつづく
1990年7月3日ナポリ
ワールドカップ準決勝イタリア対アルゼンチン戦は、1-1、PK3-4で、アルゼンチンが決勝に進みました。
アッバス・キアロスタミ監督作品「そして人生を続く」は、1990年6月21日イラン北部の大地震で被災した、キアロスタミ監督(監督自身ではなく別の俳優が演じる)が前作「友だちのうちはどこ?」の出演者たち(ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプールの美少年兄弟ら)の消息を尋ねて旅する話。
勿論100%事実を投影したものではないのですが。
非常に衝撃を受けたのは、瓦礫の中からTVを掘り出し、アンテナを取り付けて何とか観ようと試みる男性がいて、TVが点くと、さっそく周りに人だかりができて
「試合はどうなった?」
「イタリアが勝っただろ?」
「いや、アルゼンチンに決まっている!」
と観戦を始める、というところ。
上記の、ナポリで行われたワールドカップ準決勝のイタリア対アルゼンチン戦です。
こんなときにサッカー観戦するのか、この人たちは!
と、感心するというか、呆れるというか。両方ですけど。
監督の息子も、ここで試合を観て行くと言い出し、監督はここからなお北部を目指して旅を進めます
・・・と、映画のストーリーはまだまだ続くのだけれど、それまでも好きだったイラン代表を、一生応援するぞと思った瞬間でした。
日本のワールドカップアジア予選突破を阻んできたのは、ダエイやカリミやバゲリのような英雄たちというよりも、こういうサッカーファンたちだったのだ、と感じた瞬間でした。
私がこの映画を観たのは1995年の1月中旬。
そのすぐ後に映画で観たのとそっくりの映像をニュースで観ることになりました。
その前からイランのサッカー選手に憧れていました。
これを観て以降は、彼らがどんなに落ちぶれても絶対応援する!と思いました。
今の彼らを観ているのは辛いです。
あの大震災の時よりも「サッカーどころじゃなくなっている」というから。
「そして人生はつづく」
アッバス・キアロスタミ監督1992年イラン
(2011年3月12日書き替え)
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