簡単に交流と書いてしまいましたが、現実には全く簡単なことではありません。
すぐ近くで生活していても、彼らは今まで会ったり話したりしたことはありませんでした。
ユダヤ人の双子の兄弟ヤルコとダニエルと難民キャンプ育ちのパレスチナの少年ファラジが、会うまでは互いに逡巡すること多々ありました。
ファラジの写真を監督から見せられた双子は
「足が速そう」
「でも頭悪そう」
とか言いながら、興味津津。
しかし、ファラジは最初は会うのを拒否し、女の子に説得されて会うことにします。
(が、いざ会うとなると、積極的で、当日の朝、デートの前のように鏡の前に張り付き、香水までつけて、双子たちを待つ。可愛い。)
いざ会ってみると、
「サッカー、どこ応援しているの?」
「ブラジル!」
「僕も!」
そして周りの子を交えてサッカーを始め、あっという間に打ち解ける。
さすがサッカーだなあ、と思わせます。
ファラジと双子たちはその後何回かは会うことができましたが、2002年のベツレヘムのキリスト生誕教会のイスラエル軍包囲など、パレスチナとイスラエル両者の関係はどんどん悪くなり、双子たちがパレスチナ側にやってくることは不可能になってしまっているとのことでした。
一方、アディダスのジャージを着てサッカーに興じるパレスティナ少年と、聖職者志向の秀才?ユダヤ人少年は、なぜかゲップ合戦を始める…。
何なんだ???
大人の方もそんなんで済ませればいいのに。
あの子たちはあれからどうしているのか。
もう徴兵年齢になっているでしょう。
心配が絶えません。
下記のようなニュースもありました。
エルサレムの街中で、店の軒先や通りにテーブルを出す飲食店が目立つようになった。自爆テロが頻発したころを知る人なら目を見張る光景だろう。屋外営業の広がりは「安全」の証しとも言えるが、和平の動きは進んでいないのに、どう「安全」は導かれるのか。イスラエル人の知人が「壁の効果」と言ったのを、ベルリンの壁崩壊20周年のニュースを見ていて、思い出した。「プロミス」
イスラエルが02年に占領地ヨルダン川西岸で建設を始めた「分離壁」。テロを計画するパレスチナ人の侵入阻止を名目に、西岸をぐるりと取り囲む。一口に「壁」とくくられるが、高さ約8メートルのコンクリート壁の部分と、感知センサー付きのフェンス部分が混在する。総延長は700キロ超で、ベルリンの壁の約4・5倍の長さがある。
イスラエルの携帯電話会社の広告に、こんなテレビCMがあった。
<サッカーボールが分離壁を飛び越えてくる。パトロール中のイスラエル軍の車両を直撃、兵士は身構えるが、ボールと分かりけり戻す。すると再びけり返されてきた。歓声を上げる兵士。携帯電話で仲間を集め、壁を挟んでゲームが始まる>
毎週金曜日に分離壁反対のデモが開かれる西岸の村で、このCMが「実演」された。パレスチナ人がサッカーボールをけり込むと、イスラエル側から返ってきたのは催涙弾だった。パロディーとは笑えない、これが現実。
いつか分離壁がなくなる日は来るのだろうか。うわべの「安全」を享受した人々から、和平への思いは薄れているような気がする。【前田英司 2009年11月22日 毎日】
ジャスティーン・シャピロ&B.Z.ゴールドバーグ&カルロス・ボラド監督2001年アメリカ
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