「僕たちのキックオフ」
シャウキャット・アミン・コルキ監督
2008年イラク・日本
2008年のNHKアジアフィルムフェスティバルで上映され、2009年のアジアフィルムフェスティバル開催に合わせてBSかなんかで放映されたようです。
今後もNHKで放映があると思われます。
年配の観客には極めてショッキングなラストだったようです。
「アフガン零年」「午後の五時」などもそうですが、見ようによっては厳しいというか、救いがないように思える物語かもしれません。
が、ともかくこれが当地の現実であり、監督さんはむしろ次世代に引き継がれる希望を描いたつもりのようでした。
しかし、映像は幻惑的というか、やたらと芸術的な香りがするといいましょうか、若干レンフィルムっぽいというか。
キルクークのスタジアムに難民として住みついている青年がサッカーのゲーム中に地雷で足を失った弟(ジダンのレプリカユニ着用の美少年)を力づけるためにサッカーの親善試合を企画。
アラブ対クルド、トルコ対アッシリア(シリア系のキリスト教徒)。
そして勝者で決勝戦。
いや、民族ごとのチームではない方がいいのでは?と思っていたら、トルコ人GKが民族の枠を超えて助っ人に。
大人はやめとけと言いますが、そうそう、そうでなきゃ。
美少年(主人公の弟+トルコ人GK)だけでなく、美女(主人公の隣のアラブ人一家の娘)も出ます。
監督さんはユヴェントスのファンだとおっしゃっていました。
一縷の希望も見えない、という感想を持つ人もいるのですが、あの監督さんにしてみれば、あのラストは「絶望のみ」ではなく、子どもたちの未来に希望を託すということだったのだと思います。
ただ日本の観客には悲惨な結末という印象が強く刻みつけられてしまったようです。
私自身は、災害・戦禍に際し、サッカーというものは、絶望の淵で最後まで残る希望、そして復興の萌芽として最初に芽生える夢として描かれてきたのだ、との思いを強くしました。
特に、キアロスタミの「そして人生は続く」、エラン・リクリスの「カップ・ファイナル」、ジャスティン・シャピロ&カルロス・ボラード &B・Z・ゴールドバーグの「プロミス」 等の西アジア映画を思い出しました。
これらの作品についても、順次書いていくつもりです。
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