オデッサ・スタジオ
このブログでは、サッカー映画について書いています。 背景の写真はオデッサの撮影所です(2007年夏撮影)。
2024年11月18日月曜日
ぼくとパパ、約束の週末~推しの旅はこれから
2021年5月14日金曜日
You'll never walk alone
Позавчера я купила немецкий документальный фильм «Ты никогда не будешь одинок» в онлайн-театре Йокогамского кинофестиваля футбольных фильмов. После позавчерашнего и позавчерашнего дня видела и сегодня.
Когда я впервые увидела это на кинофестивале несколько лет назад, я была удивлена, узнав, что оригинал был вставкой из американского фильма «Карусель» и что фильм был основан на пьесе Морнара. Спектакль «Лиллиома».
«Ты никогда не будешь одинок» - это песня подбадривания футбольных клубов по всему миру, включая «Ливерпуль», «Боруссия Дортмонт» и «Токио».
世界中の多くのサッカークラブで愛唱されている”You'll never walk alone”は、ミュージカル映画「回転木馬」中で歌われる曲なのだが、ミュージカル「回転木馬」は元々ハンガリーのモルナールが著した戯曲「リリオム」が原作。ヨコハマ・フットボール映画祭の解説だと”オペラ”と書かれているが、オペラではない。歌は入るもののストレートプレイの範疇になると思う。
(「リリオム」はブダペストで初演、後ウィーンの舞台でもヒットする。モルナール自身はこの戯曲に自信を持ち改編改作することは考えていなかったのだが、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を逃れてアメリカに渡った際困窮のあまり渋々ミュージカル化を承諾したのだという経過がこのドキュメンタリーで明かされる。結果的にミュージカルの出来にモルナールは満足したらしい。)
「リリオム」は実際に妻にDVをしていたモルナールが自らを正当化するような、後味の悪い戯曲で、映画「回転木馬」で歌われる”You'll never walk alone”は、一度死んで「二度と殴らない」という約束で地上に戻った主人公が娘を殴って再び死ぬ(地獄に落ちるのだろう)、そしてこれまで犯罪者の家族だと肩身の狭い思いをしていた主人公の妻と娘が「それでも生きていくわよ、逆境の中でも希望を捨てない、一人じゃないんだ!」と勇気を振り絞る歌なのだが、サッカーソングになった時点で割と単純に「希望を捨てるな、俺たちがついてるぞ」みたいなファンが選手たちを鼓舞するような雰囲気に変化している。
特に中東欧映画ではスポーツ選手(むろんサッカーを含む)はほぼDV傾向あるという描き方は定番なのだが、元々の作品の”男性のDVは愛情の表れの一つ”とでも言いたげなモルナールの自己正当化部分がきれいに捨象されているのが、実は気持ち悪くはある。
しかし、しかし、この歌の歌詞は実にいい。
リバプールのロックバンドのメンバーがふらっと入った映画館で二本立て作品の一本で「回転木馬」と出会い、映画自体は寝ながら観ていたそうだが、この曲に感銘を受けて周囲の反対を全て押し切ってバンドのレパートリーにして見事ヒットさせ、それをリバプールのスタジアムでDJが取り上げ、ファンも気に入って歌うようになった…という経緯がこのドキュメンタリー”You'll never walk alone”で語られる。
現在”You'll never walk alone”を応援歌にしているサッカークラブはウィキ先生によると27にものぼる。
リバプールをはじめとするサッカーファンにとっては、アンセムに至るまでの前史部分が結構長くていらいらするかもしれないが、演劇好きにはこの前半もなかなか良い。むしろこの部分の方がおもしろいか?
映画を作ったのはたぶんドルトムントサポーターで、扱われ方も比重が大きい。しかし「リバプールの”You'll never walk alone”みたいな応援歌が欲しい」というファンの要望で、”You'll never walk alone”そのもののアレンジで応えるっていうのはミュージシャンとして、クリエイターとしてどうなのか、矜持はないのか?と気になるところではあった。
FC東京に関しては、「グラスゴーでも東京でも歌われている」という発言で触れられてるだけではあるが、ファンには必見だと思います。
tweetした一連の感想も後に補充するかもしれません。
補遺
『レストラン「ドイツ亭」』は、フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判に通訳として関わった若い女性を主人公にしたフィクションで、読んでいてなかなかに重苦しく息苦しいものだったが、ちょうど判決後に家政婦さんが夕食の片づけをしながら鼻歌でこの歌を歌っている光景が綴られている。
小説の舞台はドイツだけれど家政婦さんが口ずさむ≪You'll Never Walk Alone≫はミュージカル楽曲ではなくてジェリー&ザ・ペースメイカーズ が1963年にリリースしたものなのだろう。フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判の判決は1965年8月。もうリヴァプールの試合でもアンセムとなっていただろう。
小説の中では過去の所業が追及されて人間関係が崩壊していく中で響くのがこの歌だというのはかなり皮肉。
2020年11月23日月曜日
オデッサ海岸通り: 戦争責任に甘すぎる、これでもドイツ映画 「キーパー ある兵士の奇跡」
2019年1月28日月曜日
2018年1月7日日曜日
ピッチ Коробка
「是非来年のフットボール映画祭(つまり2018年)のプログラムに入れて欲しい」と思った。
ストリートサッカーと移民、民族問題、フーリガン。
ロシアの現実思うと溜め息だけど、この映画のチェブ的解決(皆で作ろう!)の糸口提示は悪くない。
「ピッチ」 ”Коробка”
ロシアでワールドカップが開催される今年、フットボール映画祭での上映をしてほしかった。
観た当時にツイートしているが、コーチ役で元ロシア代表GKルスラン・ニグマトゥリンが出演。
実は彼、すっかり芸能人になっていて(DJ)、役者も板についていた。
主人公たちに対立するカフカース系のグループの子たちはかっこいい。
メルっていう子の行く末が心配。
『シベリアの掟』でも、親友メルってこういうキャラだったけど、そういうニュアンスがこの名前にはあるんだろうか?
2017年2月15日水曜日
サッカー失恋
…って、それ言ったら怒らせること間違いない。
昨日、川崎市市民ミュージアムでケン・ローチ監督「まなざしと微笑み」を観ていて、思わず声を上げそうになった場面です。
主人公の不器用さ、特にこのスタジアムでのデート場面で際立っていました。
80年代、慢性的不景気、失業問題を抱えたイギリス。
特に北部の鉄鋼の町シェフィールドは高校卒業した若者に就職先は殆どありません。
主人公はそんな手持無沙汰な毎日を送る若者です。
失業中ながら恋人ができ、その彼女が一緒にサッカーを観に行きたいと言い出し、「女の子がいると仲間と盛り上がれない」と乗り気ではなかった主人公でしたが・・・。
応援に熱が入ってきたところで、彼女の具合が悪くなり、「外に出る、帰りたい」という訴えに対して、彼女の体調を気遣うより試合の行方を気にしている(のがよくわかる)のがいけません。
もちろん、一緒にサッカーの試合を観たいと言い出したのは彼女の方でしたが。
そして、一旦廊下に出たところで歓声があがるので試合を観に、彼女を置いて座席に戻り、再び彼女の元に来て言ったのが冒頭の台詞。
結局彼女は家に帰ることになり、主人公は試合を気にしつつ「バス停まで送ろうか?」と発言(←家まで送れって!)、そのうえ出入口係に「すぐ戻るから」と言うなどこの上まだ彼女の体調よりサッカーを気にしている無神経さで、案の定「もう二度と会わない」と申し渡されてしまいます。
よくあるんだろうなあと思われるサッカー失恋の一幕でした。
あのね、彼女を連れて行った時点でその日は彼女優先にするという覚悟をしないと。
彼女にとっては最悪の観戦デビューとなり、もしかすると二度とサッカーなんて観に行かないという気持ちになってしまったかもしれません。
ネタバレしてしまうと、実はこのカップルはこういう後味の悪い別れ方をしていながら、一旦はよりをもどします。
が、さらに試練は待ち構えており、ラストでは彼女から将来についての選択を迫られることになります。
それは延々と求職活動しても就職できない主人公は、陸軍に入った親友にやや自慢めいた話を披露されて心が相当ぐらつきます。
(陸軍のリクルートは映画の冒頭にあり、親友はそれであっさり入隊しますが、鉄工所勤めで労組の活動家でもありそうな父親の猛反対で、主人公はその時点ではパスしますが、ここで再び動揺が走ります)。
そこで彼女は入隊するなら別れる、と申し渡します。
でも、当面失業状態は続きそうです、軍に入らない限りは。
しかも、歴史展開を知っている観客は、この後イギリスの福祉がより悪くなるのを知っているし。
さあ、どうする?
川崎市市民ミュージアムでの最後の最後の企画上映(来年度から民間委託されるためこれまでのような垂涎ものの企画上映がなくなる可能性大)インディペンデント映画特集、Part1《ケン・ローチ初期傑作集》は、随所にブリティッシュロックやサッカーのモチーフがちりばめられ、文字通り若きケン・ローチの才能あふれる作品を堪能できるものです。
最近のローチ作品の登場人物は、貧しくともしたたかに反撃するようになっていますが、初期作品では弱者はあくまで叩かれて落ちていくので、観ていてもう居たたまれなくなります。
日本では劇場公開されていない、TV用映画も含めた70~80年代の作品をフィルムで観られて感謝です。
映像ホール、いつもよりずっと混んでいました。
レンフィルム、戦後ポーランド映画、チェコアニメ、オリヴェイラ特集。
質の高いレアな作品の上映を最高の環境で提供してくれた川崎市市民ミュージアムに心から感謝を申し上げます。
ケン・ローチ自身の経験でもありそうな?サッカー絡みでの失恋教室と、軍隊リクルートの誘惑。
今よりもずっと苦みの強い作風が若々しい。
「まなざしと微笑み」
2016年10月30日日曜日
キアロスタミ遺作「Take Me Home」
キアロスタミ遺作の「Take Me Home」
あー、とってもキアロスタミらしい掌編。
ちょっとわざとらしくてね。
登場するのは少年、猫3匹、犬、烏、鳥(鳩?)数羽、無限の階段、坂、サッカーボール。
ボールを持って、帰ってしまった。
さようなら、なんだなと涙する。
キアロスタミとサッカー。
「トラベラー」
「そして人生は続く」
そして 「Take Me Home」
また会えるよね?
「Take Me Home」