やっと「バーバリアンズ セルビアの若きまなざし」を観た。
感想としては、「どこにもこういう映画ってあるんだな」という、既視感ありの、その意味ではやや期待外れってところ。
それでもセルビアっぽくはあったが。
(クストリッツァとかの、ハイテンションなパワーはない。もっともクストリッツァのあれはセルビアと言うより、ロマだったりボスニア方面だったりするのだろうか?)
しかし、だからこそ観ておくべき映画だと思う。
それも今観ておくべき映画。
是非見ましょう。
結局そこに帰っていくしかない地元サッカークラブのサポーター、と言っても、自分の応援するチームの選手を傷つけたりして、主人公の言動は一貫せず無軌道。
(ここが予想と違ったところ。熱狂的ファンが主人公かと思っていたので。)
こういう映画はよくある、と書いたのは初期ボドロフ「自由はパラダイス」「モスクワ 天使のいない夜」、カネフスキーやラバノフといった90年代ロシアの一連の作品、フドイナザーロフ「少年、機関車に乗る」あたりもそうだし、最近ではウクライナの「ザ・トライブ」なども挙げられるが、ああいうタイプの鬱屈した青春迷路系(スキンヘッドなんて恐らく当地でも10年遅れであろうが)の作品は割と観てきたから。
旧東欧の作品を挙げたけれど、ケン・ローチなんかもそうです。
何よりチェコの「ホレム・パーデム」に出てくるスパルタ・プラハファンの若者(飼い猫をポボルスキーと名付けていた)が思い出された。
ただ、バーバリアンズのルカくんは、サッカー自体にはそれほど情熱を持っていないように思えた。自分ではサッカー全然していなかったし。
選手になってサッカーで身を立てたいなんて夢は端から持っていない。
希望が見えない。
最初からない。
そういう時代、そういう風潮の、現代セルビアの若者を、恐らくかなりリアルに映しとっているのだろう。
とにかく、ルカも友人も、年齢の割に(高校生くらいだと思われる)非常に幼げに見える。
サポーターのグループが、予想とはかなり違った。
選手を傷つけられたりしたら、それこそ許しがたいことだと制裁でも加えるのかと思ったら、案外緩いし…。
昨今のセルビア代表の弱体化が何となく納得できるような、そういう空気が流れている映画だった。
夜明けはまだ遠い。
が、2018年のワールドカップには出場して欲しいなあ。
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