2016年2月15日月曜日

イタリア式サッカー狂騒曲

「イタリア式サッカー狂騒曲」
サルディーニャ島のアマチュアリーグのへぼクラブがアルゼンチン帰りの、ラモス瑠偉のような容貌の(=かなりぱっとしない)選手によって生まれ変わり突如連勝、優勝を争うようになる。しかしそこには…。
一方、一流審判のクルチャーニにはヨーロッパリーグ決勝のジャッジを任される話が降って沸くのだけれど、そこには罠が…。
と話が最後につながるわけだ。
審判(凄い美形とは思えず)のナルシスチックなところがもっと大胆に脚色されていたらよりばかばかしく笑えたのでは?アルゼンチン帰りの人、あれ何?!

上述した通り、アルゼンチン帰りのクラブの救世主選手はひょろっとした、且つラモス瑠偉のようなもしゃっとした人で、幼馴染のいかにもなグラマテス美女(ソフィア・ローレンみないな感じ)にアタックするが、絵に描いたようにツンデレなのでなかなか上手く運ばなかったりする。
あ、そうそう。
『図書館大戦争』でも感心した通り、世の中最強なのはおばあちゃまなのは、イタリアはサルディーニャでも同じだとわかる。
葬儀の最中でも号泣しながらでも我らがクラブの戦略的弱点を的確に指摘し、エースの我がままにもここぞという手を差し伸べ、いかがわしい審判には天罰を下す。
あっぱれなおばあちゃまが最高に可愛い。これが結論である!

 



オデッサ海岸通り: みなとみらい・ショートショートシアター: 今年のヨコハマ・フットボール映画祭は最後の1本のみ観戦することとなった。 ドキュメンタリー作品が多かった今年のラインナップの中で、異色?の新作ドラマ作品。 「イタリア式サッカー狂騒曲」 サルディーニャ島のアマチュアリーグのへぼクラブがアルゼンチン帰りの、ラモス瑠偉のような容...

2016年2月11日木曜日

「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」@ユーロスペース

オデッサ海岸通り: 皆にお勧め 「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」@ユーロスペース: ユーロスペースで「 ロイヤル・コンセルトヘボウ   オーケストラ が やって来る 」を観た。 ウルグアイ出身のファゴット奏者、肉親の粛清や自身の俘虜経験など過酷な過去を想うペテルブルグ在住のセルゲイさん、音楽に夢中の南アの少女ら、説明不要、ただ観て聴いて、充実した気分に浸れる...

ウルグアイ出身のファゴット奏者、肉親の粛清や自身の俘虜経験など過酷な過去を想うペテルブルグ在住のセルゲイ・ボグダノフさん、音楽に夢中の南アの少女ら、説明不要、ただ観て聴いて、充実した気分に浸れる映画だった。

これはサッカー映画ではなくて、オーケストラのワールドツァーのドキュメンタリーで、いわば音楽映画。
だけど、映画の前半で、ブエノスアイレス公演時、ウルグアイ出身のファゴット奏者ヌニェスさんとドイツ人フルート奏者ケルステンさんがレストランに入って食事しながらの会話場面。
壁に飾られたペナントの数々の中にペニャロールがあるのを観て「我がクラブのだ!」と喜ぶヌニェスさん。
「でも子どもたちはアシックスファンなんだ」というと、ケルステンさんは「うちのはバイエルンファンだよ、行ったこともない街なのにね」
と二人ともお父さんの顔。
サッカーが”グローバル”化したのがわかる一コマ。オーケストラもそうなんだけど。
ヌニェスさんはその後家族に電話(スカイプ?)して「メッシの生まれた国からだよ」と言っているから、サッカーファンとお見受けした。

2016年2月4日木曜日

バーバリアンズ セルビアの若きまなざし

やっと「バーバリアンズ セルビアの若きまなざし」を観た。

感想としては、「どこにもこういう映画ってあるんだな」という、既視感ありの、その意味ではやや期待外れってところ。
それでもセルビアっぽくはあったが。
(クストリッツァとかの、ハイテンションなパワーはない。もっともクストリッツァのあれはセルビアと言うより、ロマだったりボスニア方面だったりするのだろうか?)
しかし、だからこそ観ておくべき映画だと思う。
それも今観ておくべき映画。
是非見ましょう。

結局そこに帰っていくしかない地元サッカークラブのサポーター、と言っても、自分の応援するチームの選手を傷つけたりして、主人公の言動は一貫せず無軌道。
(ここが予想と違ったところ。熱狂的ファンが主人公かと思っていたので。)

こういう映画はよくある、と書いたのは初期ボドロフ「自由はパラダイス」「モスクワ 天使のいない夜」、カネフスキーやラバノフといった90年代ロシアの一連の作品、フドイナザーロフ「少年、機関車に乗る」あたりもそうだし、最近ではウクライナの「ザ・トライブ」なども挙げられるが、ああいうタイプの鬱屈した青春迷路系(スキンヘッドなんて恐らく当地でも10年遅れであろうが)の作品は割と観てきたから。
旧東欧の作品を挙げたけれど、ケン・ローチなんかもそうです。

何よりチェコの「ホレム・パーデム」に出てくるスパルタ・プラハファンの若者(飼い猫をポボルスキーと名付けていた)が思い出された。

ただ、バーバリアンズのルカくんは、サッカー自体にはそれほど情熱を持っていないように思えた。自分ではサッカー全然していなかったし。
選手になってサッカーで身を立てたいなんて夢は端から持っていない。
希望が見えない。
最初からない。
そういう時代、そういう風潮の、現代セルビアの若者を、恐らくかなりリアルに映しとっているのだろう。

とにかく、ルカも友人も、年齢の割に(高校生くらいだと思われる)非常に幼げに見える。

サポーターのグループが、予想とはかなり違った。
選手を傷つけられたりしたら、それこそ許しがたいことだと制裁でも加えるのかと思ったら、案外緩いし…。

昨今のセルビア代表の弱体化が何となく納得できるような、そういう空気が流れている映画だった。
夜明けはまだ遠い。
が、2018年のワールドカップには出場して欲しいなあ。