2011年2月21日月曜日

太陽に灼かれて

あと2時間しかない、と知らされて、その男はサッカーに興じた

悲劇の予感がいやます中、コトフ大佐一家の男性たちは、クロケー場でサッカーをしている。
コトフは連行されるまでの残された2時間の間に、それを家族には告げずにごく普通に過ごし、昼食後はいつものようにサッカーをすることを選ぶ。

「サッカーだって?クロケーはやらないの?」と、メンシコフ演じるミーチャ、コトフ家に不幸をもたらす彼が尋ねると、無垢なナージャ、コトフの娘は答える。
「クロケーやテニスはブルジョア的だってパパは言うの。サッカーならいいんだって」
(それがソ連時代のスポーツ観・サッカー観だったのだろうか。)

悲劇の瞬間が迫りくる中でのサッカー。
観ていて胸が痛くなる…。

幸福な時間…サッカーをしている間…はすぐに経ってしまう。

ミハルコフのあざといまでの名作。
完璧な映画作品。
スターリン、粛清、裏切り、家族、可愛い娘。
束の間にきらめく幸せ、暗転する運命。
そんな中で、サッカーをする至福はあまりにも…刹那。

コトフは銃殺され、マルーシャは収容所で獄死、ナージャも逮捕され、死は免れ、後に名誉回復したものの、カザフスタンに追いやられる。
そういったラストのはずであった。

が、それは実は嘘だったと、続編ができてしまったのだ。
許せないなあ。
でも、続編にもサッカーの場面はあるだろうか?

ニキータ・ミハルコフ監督「太陽に灼かれて」
1994年フランス・ロシア

ようやくDVDが発売されるのだと。

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