Позавчера я купила немецкий документальный фильм «Ты никогда не будешь одинок» в онлайн-театре Йокогамского кинофестиваля футбольных фильмов. После позавчерашнего и позавчерашнего дня видела и сегодня.
Когда я впервые увидела это на кинофестивале несколько лет назад, я была удивлена, узнав, что оригинал был вставкой из американского фильма «Карусель» и что фильм был основан на пьесе Морнара. Спектакль «Лиллиома».
«Ты никогда не будешь одинок» - это песня подбадривания футбольных клубов по всему миру, включая «Ливерпуль», «Боруссия Дортмонт» и «Токио».
世界中の多くのサッカークラブで愛唱されている”You'll never walk alone”は、ミュージカル映画「回転木馬」中で歌われる曲なのだが、ミュージカル「回転木馬」は元々ハンガリーのモルナールが著した戯曲「リリオム」が原作。ヨコハマ・フットボール映画祭の解説だと”オペラ”と書かれているが、オペラではない。歌は入るもののストレートプレイの範疇になると思う。
(「リリオム」はブダペストで初演、後ウィーンの舞台でもヒットする。モルナール自身はこの戯曲に自信を持ち改編改作することは考えていなかったのだが、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を逃れてアメリカに渡った際困窮のあまり渋々ミュージカル化を承諾したのだという経過がこのドキュメンタリーで明かされる。結果的にミュージカルの出来にモルナールは満足したらしい。)
「リリオム」は実際に妻にDVをしていたモルナールが自らを正当化するような、後味の悪い戯曲で、映画「回転木馬」で歌われる”You'll never walk alone”は、一度死んで「二度と殴らない」という約束で地上に戻った主人公が娘を殴って再び死ぬ(地獄に落ちるのだろう)、そしてこれまで犯罪者の家族だと肩身の狭い思いをしていた主人公の妻と娘が「それでも生きていくわよ、逆境の中でも希望を捨てない、一人じゃないんだ!」と勇気を振り絞る歌なのだが、サッカーソングになった時点で割と単純に「希望を捨てるな、俺たちがついてるぞ」みたいなファンが選手たちを鼓舞するような雰囲気に変化している。
特に中東欧映画ではスポーツ選手(むろんサッカーを含む)はほぼDV傾向あるという描き方は定番なのだが、元々の作品の”男性のDVは愛情の表れの一つ”とでも言いたげなモルナールの自己正当化部分がきれいに捨象されているのが、実は気持ち悪くはある。
しかし、しかし、この歌の歌詞は実にいい。
リバプールのロックバンドのメンバーがふらっと入った映画館で二本立て作品の一本で「回転木馬」と出会い、映画自体は寝ながら観ていたそうだが、この曲に感銘を受けて周囲の反対を全て押し切ってバンドのレパートリーにして見事ヒットさせ、それをリバプールのスタジアムでDJが取り上げ、ファンも気に入って歌うようになった…という経緯がこのドキュメンタリー”You'll never walk alone”で語られる。
現在”You'll never walk alone”を応援歌にしているサッカークラブはウィキ先生によると27にものぼる。
リバプールをはじめとするサッカーファンにとっては、アンセムに至るまでの前史部分が結構長くていらいらするかもしれないが、演劇好きにはこの前半もなかなか良い。むしろこの部分の方がおもしろいか?
映画を作ったのはたぶんドルトムントサポーターで、扱われ方も比重が大きい。しかし「リバプールの”You'll never walk alone”みたいな応援歌が欲しい」というファンの要望で、”You'll never walk alone”そのもののアレンジで応えるっていうのはミュージシャンとして、クリエイターとしてどうなのか、矜持はないのか?と気になるところではあった。
FC東京に関しては、「グラスゴーでも東京でも歌われている」という発言で触れられてるだけではあるが、ファンには必見だと思います。
tweetした一連の感想も後に補充するかもしれません。
補遺
『レストラン「ドイツ亭」』は、フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判に通訳として関わった若い女性を主人公にしたフィクションで、読んでいてなかなかに重苦しく息苦しいものだったが、ちょうど判決後に家政婦さんが夕食の片づけをしながら鼻歌でこの歌を歌っている光景が綴られている。
小説の舞台はドイツだけれど家政婦さんが口ずさむ≪You'll Never Walk Alone≫はミュージカル楽曲ではなくてジェリー&ザ・ペースメイカーズ が1963年にリリースしたものなのだろう。フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判の判決は1965年8月。もうリヴァプールの試合でもアンセムとなっていただろう。
小説の中では過去の所業が追及されて人間関係が崩壊していく中で響くのがこの歌だというのはかなり皮肉。